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宅地建物取引 ワンポイントアドバイス

[9] 建物所有目的でない土地の賃貸借と地代の減額請求

 当社は,ゴルフ場用地として土地を賃借しています。
 周囲の土地の価格が下落している状況なので,地代が高いと思いますので,今般,地代の減額を請求しようと考えています。
 この場合,建物所有目的の借地権の場合と同様に,法的に減額請求ができるのでしょうか?

 ゴルフ場用地に使用している場合には,建物所有目的ではないので,借地借家法の地代減額請求の適用は認められません。
地借家法は,借地権について,地代の減額請求を認めています。
 すなわち同法第11条では,「土地に対する租税その他の公課の増減により,土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により,又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは,契約の条件にかかわらず,当事者は,将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。」とされています。

 借地関係のような長期にわたる契約の場合に,当初に定めた地代額が永遠に適用されるとなると,当事者に酷な場合があることを念頭においた規定だと思われます。

 では,この規定は,建物所有目的ではない,ゴルフ場の用地の賃貸の場合にも適用(或いは類推適用)が認められるのでしょうか。

 この点,最高裁の平成25年1月22日判決は,「地上権設定契約及び土地賃貸借契約において,ゴルフ場経営を目的とすることが定められているにすぎず,当該土地が建物の所有と関連するような態様で使用されていることもうかがわれないという事実関係の下においては,借地借家法11条の類推適用をする余地はない。」としました。

 この点,ゴルフ場用地の利用も長期にわたるものであることは,建物所有の土地と同様とも思えます。
 実際に,この判例でも原審の東京高裁は,上記の借地借家法11条の類推を認めました。

 しかしながら最高裁は,
@借地借家法の借地に関する規定は,建物の保護に配慮して,建物の所有を目的とする土地の利用関係を長期にわたって安定的に維持するために設けられたものと解されること,
A同法11条の規定も,単に長期にわたる土地の利用関係における事情の変更に対応することを可能にするというものではなく,上記の趣旨により土地の利用に制約を受ける借地権設定者に地代等を変更する権利を与え,また,これに対応した権利を借地権者に与えるとともに,裁判確定までの当事者間の権利関係の安定を図ろうとするもので,これを建物の所有を目的としない地上権設定契約又は賃貸借契約について安易に類推適用すべきものではないこと
と判示しました。

 あくまでも,地代増減の請求権は,建物所有目的の借地権に適用されるのが原則です。
 もっとも,この判例を詳細に読むと,建物所有目的以外の一切の借地権について,「類推適用」として,地代増減請求が認められないという趣旨とも思えません。
 判例は,「当該土地が建物の所有と関連するような態様で使用されていることもうかがえない」という点を重視しています。
 ということは,建物の所有と「関連する」態様であれば,必ずしも建物所有そのものを目的としていなければならないものではないとも読めるからです。