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宅地建物取引 ワンポイントアドバイス

[12] 保証人をたてる約束が守られなかった場合

 私が賃貸しているアパートに,新入居者と契約をする際に,「保証人を必ずたてる」と約束をしたのに,半年以上放置されています。
 この賃借人は,家賃の支払能力がとても心配だったので,保証人をたてるというのが,賃貸するための絶対条件でした。
 このような場合に,契約を解除して退去して貰うことは可能でしょうか。

 保証人をたてることが絶対の条件となっている場合には,その後,その約束を守らなかった場合には解除できる可能性があります。
貸借契約時において,契約時に保証人を立てることを約束していたにも,かかわらず,相当期限が過ぎても,保証人を立てない場合に,契約を解除することができるでしょうか。

 保証人をたてる約束というのは,賃貸借の付随的な義務ということになると思いますが,かような義務違反が,家賃の滞納と同様に,賃貸借の重要な債務不履行として契約解除の原因となるかどうかが問題です。

 この点,東京地裁平成25年7月17日判決があります。この判例の事案では,保証人を立てないことで賃貸借契約が不成立となるかどうかが争われましたが,その点については,判例は,保証人の署名を賃貸借契約が成立するための要件とはしておらず,契約自体は成立しているものとしました。

 しかしながら,この事案では,賃借人の資力に不安があったために,保証人を立てるということが契約の重要な要素とされていました。

 ところが,賃借人は,6ヶ月にわたって保証人をたてることをしなかったために,賃貸人との間の信頼関係は破壊されたとして,契約解除が認められたものです。
(そればかりか,本人は生活保護申請中だったにもかかわらずそのことを秘していたようです。)

 本件では、賃貸人にとって保証人の署名が重要な要素となっていたことから,上記の結論となっています。
 それ故,一般的に,保証人をたてなければ,契約解除が認めらるということではないことに注意が必要となります。

 逆に,連帯保証人の署名の有無にかかわらず,賃貸人か賃貸する意思があったよな場合には,このような結論とはなりません。
 それゆえ,仲介業者としては,保証人の有無というのがどの程度の重要性を持っているかを,事案ごとに把握して,保証人が絶対条件の場合には,後のトラブルを防止するために,安易に契約を締結しないという態度をとることが必要です。