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宅地建物取引 ワンポイントアドバイス

[4] 内縁の夫が死亡した場合に妻に,夫所有建物についての居住権がありますか?

 長い間,籍は入れませんでしたが,内縁の夫婦として生活をしてきました。
 ところが,先日,夫がなくなったところ,相続人である夫の先妻の子どもから,建物から退去するようにと,強く言われてしまっています。
 法律には,私には居住権はないのでしょうか。

民法に規定はありますせんが,判例上は,内縁の妻に居住する権利を認めております。
 縁の夫が死亡した場合,その内縁の妻は,夫が所有する建物にそのまま居住する権利があるのでしょうか。
 内縁の夫が,内縁の妻に対して遺言書で建物を遺贈してあれば,当然,妻はそのまま,遺贈を受けた建物に住み続けることができます。

 ところが,かような遺言書がないような場合には,法律的には他に相続人がいる場合には,相続人が当該建物の所有権を取得しますので,当然,内縁の妻は不法占拠者になるかにみえます。
 民法にはこのような場合に内縁の妻を保護する規定はありません。
 しかしながら,かような場合には,判例上は,生前,内縁の夫が妻に「自分の死亡後には,妻が単独で使用をすることとする旨の合意」があると認定されることが多く,結果的に内縁の妻は保護されることになります。

 なお,内縁の夫には本来正妻がいて,内縁の妻がいわゆる重婚的内縁関係の場合にはどうでしょうか(不貞行為による内縁の場合です。)。
 不貞行為は社会的に避難されるべきであり,そのような内縁関係であったとしても,妻には居住権は認められるでしょうか。

 この点,名古屋地裁平成23年2月25日判決では,かような重婚的内縁関係であっても,他に財産があるなど,正妻の権利が不当に侵害されない限りは,上記のとおり内縁の妻に居住権があると認定しております。

 宅建業者は相続人から相続人所有物件の売却依頼を受けることがありますが,依頼された物件に相続人じゃない占有者がいる場合には,占有者はどういう権原でそこに居住しているかについて、慎重に確認することが必要となります。