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宅地建物取引 ワンポイントアドバイス

[5] 賃貸人が修繕を怠った場合,家賃の支払いを拒否しても良いのでしょうか?

 私は店舗を借りて飲食業をしております。最近,雨漏りが酷いので,賃貸人に修繕を求めているのですが,全くやろうとしてくれません。
 しかし家賃については,少し遅れただけで,すぐ督促をしてきます。
 修繕義務を全く履行しないのですから,家賃の支払いを拒否することはできませんか?

修繕が必要な程度に応じて,賃料の支払いを拒否できますが,その額についてはケースバイケースです。
 貸人が賃貸物件の修繕義務を怠った場合に,賃借人は賃料の支払いを拒むことが出来るでしょうか。
 この点について,直接規定した条文等はありません。
 しかしながら,修繕もせずに家賃を請求することは信義に反するので,いわゆる「同時履行の抗弁権」の類推ということで,家賃の支払いを拒絶することができるとされております。

 もっとも,小さな修繕義務を怠っているだけで,家賃全額の支払いを拒絶できるわけではありません。
 賃借人が賃借物件の使用をどの程度,阻害されたかによって割合的に賃料の支払いを拒めるものと考えられます。

 では,その割合はどのように決められるのでしょうか。
 この点については,正直言って,あまり明確な基準はありません。裁判になった場合にも,裁判官の気持ち次第で決められるところがあります。
 例えば,東京地裁平成7年3月16日判決では,配水管が閉塞して排水が出来ない状態になっていたことを理由に賃料の支払いを拒絶したケースで,賃料の30%相当額の支払い拒絶権を認めました。

 このケースでも,30%としたことに詳細な理由付けがされているわけではありません。判決文では「したがって,被告は,同年12月分以降の賃料について,本件建物の使用収益に支障を生じていた程度に応じた部分の支払いを拒むことができるところ,前記認定の排水状態からすれば,最大限賃料の30%相当額の支払を拒むことができるものと解すべきである。」と抽象的・感覚的に認定しているものです。
 ですから実際にはケースバイケースとなります。


 なお,上記の判例では,排水管を詰まらせたのは,賃借人が食用油を排水溝に流したことが原因ですが,賃借人に原因があっても賃借人は修繕義務を負うものであり,修繕義務を怠った場合には,賃料の減額が認められるとされていることは要注意です(もっとも,賃借人の損害については別途損害賠償は認められます。)。