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宅地建物取引 ワンポイントアドバイス

[9] 賃借テナントは看板を設置する権利が当然にありますか?

 私は,テナントビルの地下を飲食店として借りています。これまで,1階に看板を設置していました。ところが,オーナーが代わったところ,契約書に記載がないとして,看板の設置を禁止すると言ってきております。
 看板がないと,地下に飲食店があることは誰にもわからず,とても営業はできません。私は看板を設置する権利はないのでしょうか?

 契約書に看板の記載がなくても,状況によっては,オーナーの看板設置の拒否が権利の濫用になることがあります。
板の設置について,賃貸借契約上に記載があれば,それに従って処理がされます。

 契約書に記載がない場合はどうでしょうか。
 一般的には,事務所・テナントについて看板がなければいけないということはありませんので,契約書に記載がなくても,当然に契約の内容になっているという主張はできないと思われます。

 この場合,店舗部分を含む建物の所有権を取得した新オーナーが看板の撤去を求めてきた場合には,賃貸借自体は新オーナーに対して権利として主張できる場合であっても,看板の設置は権利とは言えないのでしょうか。

 同様の問題について,近時,最高裁において重要判例が出ました(平成25年4月9日判決)。この判決では,高裁が看板撤去を容認したのに対して,看板の撤去請求は「権利の濫用」になるとして,撤去請求を棄却しました。
 もっとも,この判例は,看板の設置自体を賃借権の内容であるとはしておりません。

 ただ,看板の設置が賃借権の内容ではないにしても,

@従前から看板の設置があったことを新オーナーも知っていたこと,
A賃借物件自体が地下にあり看板がないと全く営業にならないこと,
B賃借物件とは社会通念上一体のものとして利用されてきたこと,
C看板を設置してもオーナー側に具体的な支障はないこと等

の事情を考慮して,撤去請求は権利の濫用としたものです。
 かように個別具体的な事情から看板の設置を権利の濫用としたので,店舗賃貸借における全ての場合に看板の設置が権利として主張できるわけではないので,注意が必要です。

 また,テナント側が勝手に看板を設置していたとしても,これを長期間放置していたとなると,黙示で看板設置を許諾したととられかねませんので,違法な看板は直ちに撤去を求めることが必要です。